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ガソリンスタンドに住みたい

本編一切観ないで「魔法少女まどか☆マギカ」批評

アニオタ界隈ではエヴァンゲリオン以上,'10年代アニメの代表作とか傑作の誉れ高い作品のようで,確かにインターネット流し読みしてても他のアニメより断然言及が多く,オタ評論界隈も大賑わいなので一度も本編はおろか動画一切観たことない私も一発「批評」してみようという,かんべむさしの「水素製造法」ネタのようなお遊びで御座います.

  • 魔法少女と魔女
    • 思春期迎えた少女のみが契約によって魔法少女になれる.しかし魔法少女はその活動によって穢れて,その汚れがいっぱいいっぱいになると魔法少女の魂は敵である「魔女」を生み出す.
    • 魔法少女の魂「ソウルジェム(魂石)」は魔女との戦いや自身の負の感情によって濁り,やがて魔女を生むグリーフシード(悲嘆の種)になる.
    • 魔法少女は魔女を倒すために存在するが,これは宿敵ではなくそう言いつけられているだけである.そもそも魔法少女が存在しなければ魔女もまた生まれないのではないか?それとも魔法少女が穢れた結果以外にも魔女の発生はあり得るのだろうか?
    • 魔法少女に魔女と戦うよう要請するのはキュゥべえと言う生物である.彼らは思春期の少女の感情をエネルギーに変換することで宇宙の延命を図っていると自称している.


魔法少女はローティーンアイドルやアニメキャラのアナロジーであり,彼らを必要とするキモオタの皆様は彼女らに「清純さ」を要求する癖に彼女らを「性対象」として見ており性的な成熟を要求する.まあスマイレージのミニスカとかアニメ声優の外見とかそうゆう感じ.
ところがアイドル自身が性的魅力を自覚して髪を染めたり,恋人を作ったりする事はキモオタ達から忌み嫌われており,そゆ事が発覚した途端掌を返して敵として徹底的に叩かれてしまう.
またアイドルがどれ程注意深く性的魅力を自覚していることを隠し,キモオタの要求に応えようとも「大人」になってしまえば彼らから見限られてしまう.
魔法少女と魔女の関係はこれら現実のアナロジーであろう.そして魔法少女に理不尽な要求をするキュウべえはキモオタの皆様の象徴になろう.


この仮説に従うと好きな男子の為に魔法少女になった美樹さやかが本作品登場の魔法少女の中で最も早く魔女化した事の必然性も理解できる.彼女は最初から「不純」だったのだ.


アイドルの側から見れば,自分たちのファンが自分たちを必要としているだけでなく,自分たちを追い詰める存在であり,自分たちを消費してボロボロにする原因であると言う見解をファンタジーに落とし込んだ作品が本作なのであろう.これはオタにとってはとてつもないアンビバレンツであり自己を否定する結果に繋がりかねない.そのためこの作品を話題にするしかないのだろう.


入り口は可愛い魔法少女ものとして間口を広げ,途中からオタ大好きダークファンタジーに転じ,最終的にオタに自身の矛盾を突きつける,これは確かに問題作である.


さて,そうするとオチはどういう意味があるのだろうか.魔法少女が魔女化しない世界.その代わりにおっさんの姿の魔獣が跋扈する世界.少女が少女のために願った世界,其処ではキモオタが宿敵として魔法少女に狩られるのである.