triggerhappysundaymorning

ガソリンスタンドに住みたい

変換脳

「面白かった」という感想が一人歩きし、その感想に見合うだけのおもしろシーンを脳が捏造してしまったのだろう。長い年月を経て記憶が歪むことはよくあるものだが、この例のように、ついこの間見た物に関する記憶が書き換わってしまうのだから人間の脳は面白いものだなと思う。

大統領のヘルメット、血染めのSマーク - 失踪外人ルー&シー


多分本人の中ではその方が絶対に面白いって思ってる訳で,実際にそんなシーンがないと気づいてもあった方がいいに決まってんだろ!とか思っていそう.自分の脳内のデータベースからこういう展開ならこう,的なパターンを抽出して勝手に差し込んじゃったり変換しちゃったりするのだろう.

自分の場合はこのような模造記憶とは一寸違うのだが,映画を観る前に勝手にオチを想像して違うとガックリするパターン.自分でも明確に意識している訳では無いので想像していたオチよりも実際の方が面白かったらそれはそのまま本物で上書きされちゃって気付かないのだろうけれども.
ザ・フライ」で,主人公が己の中の蝿遺伝子を減らす為に自分の彼女と,その腹の中の自分の子供の遺伝子で薄めようとして彼女と無理やり伝送機に入るも失敗して,伝送機も取り込んで実体化してしまい彫像のようになってしまった親子三人の姿を,彼女の元彼が発見して泣く,的なラストを予想していたら途中まではいい感じだったのに蝿化した主人公に対して彼女が「イヤー!」とか言いつつもショットガンぶっ放すと言う残念過ぎる結末だった為に今でも自分の改変オチの方が良かったのではないかと密かに思っている.
私のこの妄想オチの元ネタは筒井康隆の母子像の結末のイメージあたりからだろうか.


ちなみに元記事で捏造された血染めのSマークの正体は恐らくマントが引っかかって暴漢に殺された銀行のお抱えヒーローことダラー・ビルじゃないかと思う.映画本編ではオープニングクレジットでその死亡記事が映像化されてたけど,予告編でそのシーンが使われてたかどうかは判らないのですが.